【書評】日本語教室【流行語に違和感】

本のレビュー

言葉は世の中を映しとるものですから、こんな風に世の中が混乱してしまうと、言葉も非常に混乱して、何がいいのかわからない、みんな私の勝手でしょうという感じになってしまいます。

はじめに

私などーもう六十歳を過ぎましたがー電車の中で聞く十代の女学生の会話は、発音も含めて、ほとんど分かりません。

はじめに

飛び交う日本語に違和感を感じる管理人


管理人は近年、飛び交う日本語に違和感を感じる場面が増えてきました、分からないと思う日本語が増えてきています。Twitter(現X)も最近始めましたが、個人的には「バズる」を聞いた時の、なにそれ感は凄かったです(笑)

※バズる:SNSなどで注目を集め、大勢の人の目を引くこと


仕事の場面でも、同じ現象が現在進行形で起きています。聞きなれない和製英語が飛び交っているのです。実際に分からずに調べた単語がこちらです。

・フィックスする→確定する 
例)プロジェクトの予定をフィックスする。

・エビデンスを出す→根拠
例)この資料の内容のエビデンスは何ですか?


これらに対して思うことは、だれでも分かるように日本語を使えばいいのに、なんでわざわざ難しい単語を使うのかな?と思っています。

その半面、流行語は自分でコントロールするのが不可能なため、世の中の流れなのか、とあきらめている部分もあります。

テレビでも近年ネット上、SNSで使われる用語なども使われていませんか。

単純に分からない言葉が増えると、調べたり、脳内で分かる言葉に変換したりする手間が増えます。結果、理解するコストが増えてつかれます。


今回読んだ本を読んで、非常に腑に落ちるところがありました。

本書の中で、著者が日本語が乱れを嘆いていますが、2001年の講演を本にしたものなので、なんと20年以上も前のこと。 日本語の乱れがだいぶ昔からあったことに驚きです。

言葉の使われ方は、多数決で決まっている

前提として、言葉はコミュニケーションツールの1つです。言葉は、双方が意味を理解していることで通じます。


それを踏まえて見出しの内容になるほど、と思いました。「絶対」という単語を使ってたとえます。


本来「絶対」という言葉は、「絶対」+「否定語」と、否定の強調に使われていました。

絶対ちがう、絶対いけない、、など

しかし「絶対」は、強調するためにとても便利だったため、いつからか、「絶対」うまいなどの

「絶対」+「形容詞」の使い方をされるようになりました。大勢の人が強調のために使うようになり、その使い方が広まっていったそうです。


「確信犯」のように、言葉面のイメージから本来の意味と違って、間違って広まった単語もあります。しかし間違っていても双方の言葉の理解が共通ならば、コミュニケーションとして成立します。

つまり言葉の意味、特によく分からない言葉ほど、使いやすいように多数決で意味が決まってしまいます。大多数の人々が使いやすいようにアレンジされていくということなんでしょう。

目的さえ伝われば、本来の意味や使い方と違っていてもなんでもいいだろう、という考えもアリかもしれません。ですが、個人的には相手にコミュニケーションコストを増やさないように、正しく言葉を使っていきたいところ。

言葉は文明の中心から生まれる

言葉が生まれるたのは、文明が発達が絡んでいます。

もともとなかった漢字が日本に入ってきたきっかけは、6世紀の頃、当時先進国だった中国の文化を輸入し、書物や文化を日本に取り入れる際に発生したものです。書物は、漢字で書いてあるため解読するのに必要になったそうです。さらにその後に、ひらがなが生まれました。


何か新しい文化や物が発生すると、それに伴って単語ができます。最近では「スマホ」がそれにあてはまりますね。


そして反面、流行で生まれた単語は、流行が去ったらいつか姿を消すことにもなります。

ガラケー



2000年代、ガラケーが登場します。その際、電波が良いという状態を表すため、バリ3という言葉が流行ったそうです。ガラケーの受信電波の表示が3本あることを意味します。

しかし今では、マニュアル車並みに使われおらず、スマホが主流です。ガラケーという文明(?)とともに発生し、文明の衰退とともに使われなくなりました。



このことから、何か新しいものや考えが生み出されるたびに、言葉は作られて増えるものということなのではないでしょうか?

毎年流行語大賞、なんてものが発表されています。しかし、必ず聞いたことがない、どこで流行っていたの?という言葉が入ってきます。その言葉もどこかの界隈で発生して、なおかつ流行していたのかも。。

日本語は細かい意味まで伝わる

日本語の利点として、細かい意味合いまで伝わるところがいいところ、と本書では述べています。

「リフォーム」を例に出して考えてみます。

例えば、リフォームする、では改造することはわかりますが、それが「増築」するのか、「改築」なのか、細かいところまでは伝えきれません。仕事のシーンなどではカタカナ語や専門用語を使うが頻繁に使う機会があるため、気を付けたいところ。

意味が間違って伝わてしまった。ここまでなら、仕方ないで済みます。すぐ訂正すれば大丈夫です。

最もまずいのは、伝えたいことの間違いに双方が気づかず、それで成立してしまうことだと思います。結局、その後の大詰めの場面で間違っている、と気づくことになります。
多少相手にうっとうしく思われても、都度認識のズレを確認する作業が大事です。

「やまとことば」は速く伝わる

言葉の伝わり方についてです。言葉が相手に伝わる速度には、言葉の種類によってそれぞれ差があるようです。言葉が伝わる速度とは、人間が言葉を聞いて意味を理解し、笑い、怒りなど反応に変わるまでの時間です。

種類とは、以下の3種類です。

・やまと言葉
・カタカナ
・漢語

カタカナはカタカナ、漢語は漢字です。やまとことばとは、中国などの海外からの言葉が入ってくる前に使われていた日本語のことです。


かたかなの「ルール」を例に出します。それぞれに変換します。

やまと言葉:きまり
カタカナ:ルール
漢語:規則


きまり 規則 ルール。すべて、同意義ですが、言葉を聞いてすぐにピンとくるのは、「決まり」ではないでしょうか。(そうでない方もいるかもしれませんが、、)

著者の井上さん曰く、お芝居の台本では、やまとことばを優先的に使うそうです。漢語ではお客さんの反応がわずかに遅れるため。


「話し」では最も分かりやすいのはやまと言葉でした。反対に「見て」分かりやすいのは、漢語のようです。きまりよりも、規則の方がすぐにピンときます。

きまり
ルール
規則

日本語ってほんとに難しいですねえ。つまり状況に応じて、最も伝わりやすい言葉使い分けするのが円滑なコミュニケーションになります。

わかったこと

今回の本を読んで、言葉は生き物では?と思いました。

言葉は時代によって盛んに使われたり、使われなくなったりしますが、生み出された言葉は消えません。その代わり死語とか言われます。(死んだというより、放置されている気がします)


言葉に翻弄されずに、楽して生きてくために、以下の感じのことをすればいいんじゃないでしょうか。

言葉は多数決によって使い方が決まるため、自分のいる世界で使わている言葉は、少なくとも意味は調べて知っておいた方が、生きていくうえで楽。

言葉はコミュニケーションツール。双方が理解できなければコミュニケーションにならない。だから、誰でもわかるように簡単なことばを優先して使う。

流行の言葉には、その言葉を相手が知らない、言葉が古いというリスクがある。よほどのとき以外は使わない。

では、また次の記事で。

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