管理人は、iphoneを10年ぐらい使用しております。5回新品を購入しましたが、いつも箱の開け方がひと手間かかります。
iPhoneの箱は蓋を開けてさらに蓋がありますよね。それはなぜなんでしょうか?
答えは、人間の行動原理を利用した「マーケティングテクニック」だということです。iPhoneの箱は、あえて開封に手間を加えて、商品に愛着を持たせるという狙いがあるようです。
・何かを手に入れるために多少なりとも労力をかけると、人はその対象に価値を感じるようになる
はじめに
今回ご紹介する本では、この原則が実験によって明らかになっております。iPhoneの箱にもこの原則が取り入れられている、と解説しています。人があらゆる物事を判断するプロセスが分かります。
読んでみて、人間は選んでいるのではなく選ばされている、がどれだけ多いのかが分かります。
さらには、オークションの売買に使えるテクニックもありましたのでご紹介します。
行動科学
習慣付けにモチベーションはあてにしてはいけない
第1章 習慣形成
習慣を形成したいなら、モチベーションにキュー(きっかけ)を組み合わせる必要がある。時間、場所、気分など何かしら行動のになる呼び水になるものをキューにする必要がある。
習慣を身に付ける前の前提ですが、人間は楽な方向に進んでしまう生き物です。習慣が身につかないことを揶揄した、3日坊主なんて言葉もあります。
その続かない原因は、モチベーションにあると著書は述べています。
トレーニングを習慣づける実験談では、開始する前に「いつ」「どこで」「誰と」を連想をさせ、その人のトレーニングするトリガーを設定させました。
実際にトレーニングをした人数は、連想させていないグループよりも38%→91%まで上昇したそうです。つまり、習慣にすることをせざるを得ない環境を作ることです。
具体的には
・誰かを巻き込む、
・毎日開始する時間に特有のアラームを鳴らしてみる
など、とにかく物理的なきっかけを作るのが効果的です。
管理人は、パソコンがある机の椅子に座ることを、ブログを書く条件にしています。つまりそのイスに座ると、自動的にブログをする、と自分自身に意識づけをしています。
目のイラストが付くだけで抑止効果抜群!?
人は目のイラストがあるだけで、模範的な行動をとるようになるようです。
実験の舞台は、片付けない・持ち込みなどのマナー違反が目立つ大学の食堂です。2種類の抑止ポスターを掲示して、ポスターの抑止効果を測る実験をしました。
花束のイラストと、目のイラストのポスターを、それぞれ期間限定で掲揚したところ、目のイラストのポスターの方が、花束のイラストに比べて、マナー違反行為が約50%も減少したそうです。
管理人は、あまり見かけたことがありませんが、迷惑行為に悩んでいる方は、抑止ポスターを試してみてはどうでしょうか?
人は本当の購買動機にすら気づかない?
人は商品を選んだ動機を説明できない_。そんなありえないことが実験で証明されていました。
実験の舞台は、様々な国の商品を売っているお店です。
売り場のBGMを2週間だけ、とある国の音楽に変えて売上げへの影響を調べました。
結果、とある国の商品の売り上げ比率が上昇したそうです。
他の国で同様の実験をしても、結果は同じ傾向が見られたそうです。売上げには、間違いなく売り場のBGMが影響しています。
しかし、この実験のさらに興味深いことは、
購入したお客になぜその商品を買ったのか理由を聞いてもBGMが要因だと答えた方は10%未満だったそうです。
このエピソードは本書の中でも非常に強烈でした。
選んだつもりが選ばされていたなんて、、
しかもそれに気づかないとは、人間の深層心理は恐ろしいです。
使えるテクニック
松竹梅は、竹が最も選ばれる
松竹梅は竹が最も選ばれる
マーケティングではよく言われるヤツですね。
一番安い選択肢はきっと品質が悪いと想像し、一番高い選択肢はきっと吹っ掛けているに違いないと考えてしまう。
よって無難に真ん中の選択肢を選ぶ。
これを「極端回避」と言います。
とあるサービスを選択させる実験で元々の松竹梅の選択肢をスライドさせて、松の値段を竹に設定しました(松はもっと高い)、
被験者にどのサービスが良いか選択させたところ、元の値段は変わっていないにもかかわらず
1度目よりも、竹を選ぶ確率が37%上昇したという検証結果が出ているそうです。
売る側としては、竹を最も利益が出るものにする。買う側は、なんとなく竹を選ばず松竹梅をしっかり分析して選択することが大切なんですね。
ちなみに値段設定は1つだけしかないサービスより、3つ(松竹梅)あるサービスの方が根本的に選ばれやすいとどこかで見た気がします。
正しいのに、追加料金は嫌われる
10章 フレーミング
人は損の方が得よりも大きく感じる
まるで手品のようなお話です。
クレジットカード所有者への調査で、下記の問いにいやだと回答した割合は
①が74%、②が49%だったようです。
①クレジットカード購入で2.5%の決済手数料がかかる
②現金決済では商品代金2.5%を割引する。(あらかじめ商品価格には手数料2.5%を上乗せしてある)
結果、圧倒的に①の方がいやだと思われています。
どちらもクレジットカードでの金銭負担は同じです。にもかかわらず、「加算」か「割引」か”言葉の選び方”が違うだけでこんなにも人の認識に差が出てしまいます。
この話の教訓は、人は得をするよりも、損をしたくないということですね。
この原則を応用できれば、表現の力で人を誘導することもできてしまいますね。
3:ご判断はお任せします。で選ばせる
相手あえて判断を任せることでこちらに有利な結果が起きるという実験結果が出ました。
通りすがりの人にバス代をねだる、という実験を行いました。
要求の後に「もちろん、出すかどうかのご判断はお任せします」と付け加えただけで差し出す人の数だけでなく、差し出す金額も増えたという結果が出たそうです。
なぜこうなったかというと、もともと応じる義務はないはずなのにあえて通行人に拒否をしてもいいという部分に目を向けさせたという結論になっています。
相手に選択の自由を与えることが円滑な取引に繋がります。
管理人のテクニック応用談
管理人は過去にオークションサイトで
”ご判断はお任せします”
この手法を使ったことがあります。
購入者から「届いた商品が気にいらず返品は可能か?」とクレームがきたことがあり、
売る側としては返品になってしまうと当然痛いです。
ですが「納得して購入されたのでは?」と言いたいところを抑えて、
相手のしたいことをこちらは納得しているということを伝えることにしました。
まず返品を了承した旨のみを伝え、さらに”返品するかどうかご判断は購入者様に一任します”と伝えたところ、やっぱり返品はいいです、と難なく取引が終わりました。
本当の回避した理由はどうであれ、本書にもある通り相手の非をあげつらう態度を取ると、こちらに不利な判断をされかねません。
相手の要望に沿った行動を取りたいですね。